— times

秘密基地は消えた。漫画もお菓子もカードダスも段ボールの机も延長コードもショベルカーも土の山も全て。始めから何も無かったのだ、とでも言うように何も残されずに平らになっていた。秘密基地のあった場所に立ってみると、何も無かったのだろうと思った。昨日と今日の間の永遠なんて無かったのだと。町中に流れ始めた帰宅時刻を知らせる放送に、僕は腰の高さまで伸びた雑草の生えた土手を登り始める。

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右の目が、腫れている

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書いたり破ったり
一晩中
紙屑とぼろぼろの私
砂漠に残骸の煌めく

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山頂に立ったら
両手を伸ばして待ちなさい
やがて空から風がきたら
吹き上げられて登りなさい

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出来事を記憶する能力は、「自分の位置」を記憶する能力から進化したと言われる。「位置法」と呼ばれる古い記憶術が有効であるというのは、その証拠かもしれない。

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「見覚えがある」という感覚は、脳が捏造している。
周囲の環境から絶えずもたらされる情報の量は、脳の記憶容量をはるかに上回っているため、どうしても、様々な手段で取捨選択をしなくてはならない。記憶のおかげで、我々は皆、以前に見たものや会った事のある人を、「知っている」と感じることができる。この感覚は何かが見える、聞こえるといったことと差がないように思えるが、現実にはまったくそうではない。「見覚えがある」という感覚は、脳の隠された機能によって「捏造」されたものだ。これはプライミングも関係している。
意味が良くわからない、あるいは意図的に理解しづらい文章なども、同様に、「何か」として理解できるときもある。そもそも認識や理解の方法自体が個別の脳によって、個別に捏造されるものであるならば、意味がある、意味がない、わかりやすい、わかりにくいなどの対比はそれほど重要ではない。

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回復する影はあなたを救う
言い訳や嘘やどうでも良いものから
空から降りて来て 舞い上がらせる
朝日の眩しさに消えかけながら
大人になりたくて 
それが何かと言う事を 永遠にふせるだけで
また、ひろがる

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