— times

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maruyamagenta

煙草を挟んだ指がとても綺麗だったから、逃げ出してしまったんだと思う。

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秘密基地は消えた。漫画もお菓子もカードダスも段ボールの机も延長コードもショベルカーも土の山も全て。始めから何も無かったのだ、とでも言うように何も残されずに平らになっていた。秘密基地のあった場所に立ってみると、何も無かったのだろうと思った。昨日と今日の間の永遠なんて無かったのだと。町中に流れ始めた帰宅時刻を知らせる放送に、僕は腰の高さまで伸びた雑草の生えた土手を登り始める。

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家に帰ったらその全てに押しつぶされてしまっていたけれど、あのボロボロの黄色い自転車に乗っている時はそれでも笑っていられた

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あなたをずっと見ていたいのに
いつだって見ていたいのに
なぜあたしの北側に生えたの?
太陽ばかりみてるからってあなたが嫌いなわけじゃないの
そっぽを向いてるわけじゃないの
どうしても振り返ることができないの
あなたの顔は見た事ないけど
あなたの言葉が太陽ばかりの退屈な日々を変えたの
もうちょっとで根があなたに届くはず
その時まであたしは見たくもない太陽を見続けて
根を伸ばし続けるわ

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シンバルを叩く猿だとか、音に反応して踊る花だとか子供の頃から一切変わらない商品がディスプレイされている。色は勿論というべきだろうか、褪せていた。

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道も街路樹もマンションも車も手に持っているペットボトルも全てが赤く染められ、境界線が失っていく中で、最後まで見えていたのはちりじりに逃げて行く友達の影だった。

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