— times

記憶の匂いは何処?
石底ノ虫の、棲家?
記憶のなかで甘い石々。
船食虫達の着物のひかり。橋の下はいびつな建物だから、橋下にいて、草叢に尻をつけ石っころは夏の想像にふける。
電車が止まっている。保線区員はこない。

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静謐の底で、私は遠ざかって行く光を目守っていた。
背から、冷気が流れて来た。
頭上では、宆蓋を掻くような禽の音が、跡切れ々々に鳴り響いている。
夜は、重く、生温い、獣のような寝息を吐いていた。

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水辺に佇み、それを打目守っていたピュエルは、この時ゆくりなくも前へと進み始めた。
水の面に映じた許多の滴石が砕けて、鬱金の破片が野火のように氾がっていった。洞内は、その波紋の翳に揺れている。水は低く、纔かに膝の上までを濡らしただけである。

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朝、詩を書く男。素敵と云えば素敵だ。
誉めてあげたいようなところもある。でも、同時になんだかこっちが恥ずかしくなるようなところもある。

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彼は彼女のキャットスーツのファスナーをおろした。
彼女の肌は美しく、シナモン・スティックのような色をしており、彼の唇が触れると赤みが注した。

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アマチュアとは文字通り「愛する者」のことである。ある対象に対する「情熱」がもっとも重要な知の源泉であることについて、社会のなかで基本的な合意が成立している。「明るい部屋」をそのようなアマチュアリズムの最良の成果のひとつとして読むとき、偏狭な専門主義のなかで窒息しかかっている想像力に、新鮮な空気が送り込まれる。そしてバルトのこの姿勢は、「アマチュア」が本質的な部分を構成している写真というメディアの特殊性とも深いところで関係している。

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過去を燃やす女と 雨の音

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