— times

薄いコーヒーと甘い菓子

薄いコーヒーと甘い菓子、缶のビール。強烈な陽ざし。飛び交うフィリピン語。
変な町だ。印象がつかめず、変に希薄な感じがする。人々が絵のように薄く見えたりする。かげろうのように美しい景色がゆがんで見える。
「変な島、変な時間。」
私は言った。
「ここに住むって、不思議なことね。」
「私にとってはどこだって、日本より住みやすいわよ。」
させ子は言った。


アムリタ/吉本ばなな