— times

彼女の家は

彼女の家はスイス風だった。そいつは当時の夢だった。家の前には魚どもが、くさい匂いのする池につかって泳いでいた。もう少し行くと玄関の石段があった。ぼくたちは暗闇を分けるようにして中に入った。何か柔らかいものに触った。(そばへおいで、フェルディナン坊や、こわがらなくてもいいんだよ・・・・・・)キスしに来いと言うんだ。逃げるわけにもいかなかった。


なしくずしの死/セリーヌ