— times

あの時はまるで

「あの時はまるで自分の家が火事だってのに、それを見ながら美味しいものを強請っているっていう感じだったね」
「・・・憶い出したわ」
「言い訳ばかりのひどい手紙だった」
「それでいいのよ」
強い陽射しの向こうで、もの凄い勢いで走ってきた男が転んで、君は笑った。


text by tetsuya machida