— times

目が醒めると

目が醒めると、記憶を振り返れないほど長い眠りだったかと、暫くは雨音に気付かず耳鳴りへ気持ちが傾き、首の後ろ側に残る痺れを殊更大袈裟に庇う手つきが、浅ましいと感じた。
傍らの女の首の微かな青い脈動を眺め、先ほどまでこちらを見詰めていたのではと考えた。


text by tetsuya machida