— times

市街電車の音

市街電車の音や絨毯を叩く音の拍子が、私を揺すり、眠りを誘った。その拍子に包まれて、私の夢は結ばれたのだった。初めのうちは、まだかたちをなしていない夢、おそらくは、産湯の波のような感じやミルクの匂いが浸透していた夢。それから長く紡ぎ出されていった夢、旅や雨の夢。


1900年頃のベルリンの幼年時代/ヴァルター・ベンヤミン