— times

あなたは、

「あなたは、伝えたい事があるようだけど、ワタシにはさっぱりわかんない」
瑞々しい肌を輝かせるように突き出した彼女の唇を、別の生き物のように眺めて、
伝えたい事など何もないんだよと言葉にすることができなかった。
分かるというのは、つまりキミの中に入って、キミになることでしかないから、
それはできないんだよ。
絶望的な諦めに落ちてから、盛りのついた獣になることが唯一残されていると気づいた。